⚠️ 本記事の内容について
本記事は、過去に報道された事実や公的発表に基づく情報を元に、不祥事の事例を中立的にまとめたものです。特定の金融機関を誹謗中傷したり、投資や口座開設・解約などの判断を促す意図は一切ありません。
資産管理や金融商品選びはご自身の判断と責任で行ってください。また、執筆更新時点での情報となります。最新の情報は各サイトよりご確認ください。
はじめに:なぜ今「不祥事まとめ」なのか?

新NISAやiDeCoの制度整備が進み、私たち個人が本格的に資産形成へ取り組む時代が始まりました。
「貯金だけでは将来が不安」「少額でも投資を始めたい」と証券口座を開設し、毎月コツコツ積立を始めている方も多いのではないでしょうか?私自身もそのひとりです。
しかし、いざお金を預けたり投資したりしてみるとふと頭をよぎるのが「本当にこの金融機関、信用して大丈夫かな?」という不安。
実際、ここ数年だけでも
- 放置されたセキュリティホールに不正アクセス
- 大手銀行での窃盗
- 証券会社社員による放火
- 証券会社社員による不正取引
など、「えっ、あの大手でそんなことが?」という事例がいくつも起きています。
もちろん、すべての金融機関が危ないという話ではありません。ですが、「不祥事が起きることはある」「だからこそ、自分でも対策をしておくべき」という姿勢が、これから資産を築いていくうえでとても大事だと思うのです。
この記事では、近年の主な不祥事事例を中立的に振り返りつつ、個人ができる現実的なリスク分散・安全対策もまとめました。
資産を守る意識を持つためのきっかけとして、参考になれば幸いです。
主な銀行・証券口座の不祥事事例

大手証券会社複数:証券口座不正アクセス事件(2025年)
- 【概要】2025年に複数の大手証券会社で顧客の口座に対する大規模な不正アクセスが発生した
- 【影響】不正アクセスされた口座から不正取引をされて資産を見知らぬ中国株等へ変えられた
- 【原因】2025年6月時点根本原因は不明。セキュリティホールから侵入、フィッシング詐欺や認証情報抜くツールを入れられた等が考えられる
- 【再発防止策】
- ログイン及び取引制限
- 証券会社側のログイン及び取引の認証及び制限強化
- ユーザー側のログイン及び取引の認証及び制限強化
- ログイン・取引履歴の確認

アカウントのセキュリティ設定をしっかりしていれば不正アクセスは限りなくゼロに近いはずですが、中にはそれらを設定しても突破されたという証言もありました。また、証券会社によってはセキュリティ設定してもID・パスワードのみでログインできてしまうセキュリティホールを放置したままにするというケースもありました。今回の事件でセキュリティホールはほぼ閉じられましたが、セキュリティ設定+ログイン及び取引制限をして自分以外はアカウントにアクセスできない環境に近づける努力が引き続き必要ですね。
三菱UFJ銀行:貸金庫窃盗事件(2024年)
- 【概要】三菱UFJ銀行の元行員が支店の貸金庫から顧客の現金や貴金属など十数億円相当を窃盗
- 【影響】銀行の信頼性が大きく揺らぎ、貸金庫サービスの将来に不安が広がる
- 【原因】
- 貸金庫の管理手続・ルール、運用の不備
- 拠点内での牽制・モニタリングが不十分
- 本部等による牽制・モニタリングが不十分
- 【再発防止策】
- 貸金庫に関する手続・ルールの見直し、管理強化
- 拠点内での牽制・モニタリングの強化
- 本部等による牽制・モニタリングの強化
- 人事運営の見直し
- 法令等遵守意識の再徹底

インターネットに保管したくない重要情報は物理的保管をすると思いますが、その時に候補になるはずの貸金庫を所有者以外が簡単に出し入れできてしまうのは恐ろしいです。再発防止策が徹底されたとはいえ、重要情報の物理保管は自分で管理したいと感じる方も多いかもしれません。
出典:
ニュースリリース | 三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行 支店管理職が貸金庫から盗み 被害10数億円 約60人 | NHK | 事件
野村証券:元社員強盗殺人未遂、現住建造物等放火(2024年)
- 【概要】元社員(退職済み)が在籍時の情報を利用して、広島の80代夫婦宅を訪問し睡眠薬を混入した後に現金約2,600万円を奪い放火も実行
- 【影響】会社は金融庁・警察の調査対象となり、顧客の信頼とブランドイメージに深刻なダメージが生じた
- 【原因】自らの投資の損失への穴埋めや、さらなる投資にあてるためとされている
- 【対応策】
- 業務改革推進委員会の設置
- 「お客様ご自宅への訪問」に関する監督強化
- 制度変更やコミュニケーション強化など

在籍時は社員とお客様の関係だったようで、退職後に在籍時に得た資産情報や生活状況を利用して放火したという内容ですね。会社を回しているのは人間な以上、1つの会社に資産を預けるとそれに起因するリスクも大きくなるので分散大事!
出典:
当社元社員の逮捕について | NOMURA
野村証券 元社員を起訴 顧客への強盗殺人未遂と住宅放火の罪 広島地検 | NHK | 事件
SMBC日興証券:相場操縦事件(2022年)
- 【概要】社員が株価を人為的に釣り上げる「相場操縦」を行い、刑事事件に発展
- 【影響】証券業界全体の信頼低下
- 【原因】
- 証券業務全体の中での潜在的リスクに見合った自己規律及び態勢整備の不足
- 社内全般にわたる規範意識の希薄性
- ガバナンス態勢全般の機能不全
- 人事政策におけるコンプライアンスの位置づけの弱さ
- 【再発防止策】
- 自己勘定取引の在り方を含む業務運営の見直し・総点検
- 全社的な規範意識の向上と人事政策の改善
- 経営陣の明確なコミットメントと任務遂行
- コンプライアンス態勢の強化
- 不正の芽を早期発見し、迅速に対処し、業務改善につなげるサイクルの定着

株価が読めれば…自分の思い通りになれば…と考えたことは誰しもあるかと思います。仕事のプレッシャーだったのか、利益を追求しすぎたのか──いずれにせよ、株価を買い支えていた現場の人たちが不憫に思えます。
出典:
相場操縦事案・銀証ファイアーウォール規制違反事案について | SMBC日興証券
SMBC日興証券 相場操縦事件 大手証券会社で何が |NHK事件記者取材note
資産を守るために私たちができること

「複数口座」でリスクを分散する
1つの金融機関に資産を集中させると、その機関でトラブルが起きた際のリスクが大きくなります。
- 主力銀行+サブ銀行(ネット銀行など)
- 証券会社も複数口座を持つ
- ペイオフ制度(預金保険制度)などの万が一の保証される限度額を把握しておく
定期的なログイン&履歴確認
長期間ログインしていないと、不正利用に気づけません。以下のチェックを習慣に。
- 最終ログイン履歴の確認
- 出金・取引履歴の確認
- ログイン・取引取引のメール通知をON
- 不正アクセスされた際の手順を把握しておく(パスワード変更、公式サポート問い合わせ等)
※ログインはブックマークや公式アプリからのみ!
セキュリティ強化(2段階認証の活用)
ほぼすべての金融機関で2段階認証が使えるようになっています。
- 認証アプリの利用(SMSより安全。GAFAM系のauthenticatorがより安全。FIDO2も推奨)
- 生体認証の設定(スマホアプリ利用時)
- パスワードは推測されにくい長めの文字列
情報リテラシーを高める
ニュースやSNSでの情報収集も有効ですが、情報の出所や真偽を見極める力も求められます。
- 金融庁や企業の公式発表を確認
- フィッシング詐欺や偽サイトにも注意
- RSSなど活用して一括収集
- ファクトチェックする手段構築(GPT等のAI活用、公式HPをみる等)
おわりに:信じすぎず、疑いすぎず

金融機関の不祥事を見ると、「どこも信用できない…」という気持ちになりがちです。
でも、100%安全な選択肢は存在しません。
大切なのは、「できる範囲で資産を守れるように準備しておくこと」「守れなかった際にどうすべきかの準備をしておくこと」。
この情報が、あなた自身の資産防衛に少しでも役立てば幸いです。
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